アニメや漫画を見ていて「あれ? 今、猫猫(マオマオ)のこと、違う名前で呼ばなかった?」と耳を疑ったことはありませんか?
特に、渋くて素敵なあの従者さんが呼ぶ「シャオマオ」という響き。なんだかすごく特別感があって、耳に残りますよね。私も最初は「聞き間違いかな?」と思ったんですが、調べてみるとそこにはキャラクター同士の信頼関係や、中国語ならではの奥深いニュアンスが隠されていることが分かりました。
今回は、そんな気になる呼び名について、原作やアニメの描写を振り返りつつ、私なりに深掘りして解説していきます。「ただのあだ名でしょ?」と思っていると、意外な発見があるかもしれませんよ。
※本記事には『薬屋のひとりごと』のネタバレや、作中の身体的欠損に関する表現の解説が含まれます。苦手な方はご注意ください。
この記事のポイント
- 「シャオマオ」は新しい名前ではなく、親しみを込めた「愛称」
- 中国語の「小(シャオ)」は、日本語の「ちゃん」付けに近いニュアンス
- 主に高順(ガオシュン)や水蓮(スイレン)といった年長者が使用する
- 「敬称不要」という猫猫の申し出に対する、高順なりの粋な計らい
- 猫猫の年齢、両親、指にまつわるエピソードもあわせて解説
『薬屋のひとりごと』で見かける「シャオマオ」とは?意味やマオマオとの違い
まずは結論から言ってしまうと、これは「別のキャラクター」でも「名前の間違い」でもありません。主人公である猫猫(マオマオ)本人のことを指しています。
では、なぜ呼び方が変わるのか。気になって中国語の辞書や文化的な背景を少し調べてみました。
中国語での「小」が持つニュアンス
カタカナで書くと「シャオマオ」ですが、漢字で書くと「小猫」となります。
この「小(シャオ/xiǎo)」という字、中国では名前の前につけることで愛称(ニックネーム)を作る接頭辞として使われるんです。意味合いとしては、以下のようなニュアンスが含まれています。
- 親しみ: 日本語の「〇〇ちゃん」に近い
- 関係性: 年上が年下を呼ぶ時や、親しい間柄で使う
- 可愛がり: 「ちび猫」「猫ちゃん」といった響き
つまり、あの呼び方は「猫猫ちゃん」と呼んでいるのとほぼ同じ意味なんですね。そう考えると、急にアットホームな雰囲気がしてきませんか?
結局のところ、本名ではない?
あくまで本名は「猫猫(マオマオ)」です。「小猫」は特定の相手だけが使う特別な呼び方、という位置づけになります。
作中では、以下のように呼び方が使い分けられています。
| 呼び名 | 主な使用者 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 猫猫(マオマオ) | 壬氏、玉葉妃など | 通常の呼び名。対等、もしくは主従関係。 |
| 小猫(シャオマオ) | 高順、水蓮 | 保護者的な目線。孫や娘を可愛がるような響き。 |
| 薬屋 | 壬氏(初期) | 役割での呼び名。距離がある、またはからかう時。 |
こうして整理してみると、呼び方一つでキャラクター同士の距離感が表現されているのがよく分かりますね。
誰が「薬屋のひとりごと」でシャオマオと呼んでいる?
この愛称を使っているのは、主に壬氏の側近たちです。特に印象的なのは、やはりあの人でしょう。
「敬称はいりません」から始まった関係
一番の使い手は、壬氏のお目付け役である武官、高順(ガオシュン)です。
物語の序盤、高順は猫猫に対して「猫猫さま」と丁寧に敬称をつけて呼んでいました。しかし、下女である猫猫にとって、身分の高い高順から「さま」付けされるのは居心地が悪いもの。
「高順さまの方が立場は上だから敬称はいりません」
そう伝えた猫猫に対し、高順は呼び捨てにするのではなく、機転を利かせて「では、小猫(シャオマオ)で」と切り返しました。
これ、すごく粋だと思いませんか?
「呼び捨ては失礼だし、かといって他人行儀もな…じゃあ、娘のように可愛がろう」という、高順の優しさと「お父さん力」の高さが垣間見えるエピソードです。猫猫も心の中で(いきなりちゃん付けか…)とツッコミつつ、悪い気はしていない様子が描かれています。
乳母の水蓮も使っている愛称
もう一人、壬氏の乳母である侍女・水蓮(スイレン)もこの呼び方を使っています。
彼女にとって壬氏は我が子同然。その壬氏が気に入っている猫猫に対しても、やはり孫娘を見るような温かい(そして少し面白がるような)視線を向けているのでしょう。高順と水蓮、この二人が呼ぶ時だけ、張り詰めた後宮の空気が少し緩むような気がします。
アニメの「シャオマオ」から感じる魅力と声優について
文字で読むのも良いですが、アニメで実際に「音」として聞くと、その破壊力は倍増します。私もアニメを見ていて、思わず「その呼び方、ずるい!」と思ってしまいました。
低音ボイスが生み出す「保護者感」
アニメ版で高順の声を担当しているのは、ベテラン声優の小西克幸さんです。
小西さんの渋くて落ち着いた低音ボイスで発せられる「シャオマオ」には、なんとも言えない包容力があります。壬氏に振り回されて疲れている猫猫に対して、そっと差し出されるお茶のような安心感。
ただのあだ名以上に、「お前を見守っているよ」というメッセージが声に乗っているように感じるのは私だけではないはずです。
ちなみに猫猫役の悠木碧さんのドライな演技との対比も最高なので、まだアニメを見ていない方はぜひ音声でチェックしてみてください。
「薬屋のひとりごと」シャオマオの年齢や父母、指に関する疑問
検索していると、「シャオマオ」というキーワードと一緒に、彼女の生い立ちや身体的な特徴について調べている人が多いことに気づきました。
「小猫」と可愛らしく呼ばれてはいますが、彼女の背景はかなり複雑で重たいものです。少し整理しておきましょう。
17歳という設定と数え年の話
作中で猫猫は「17歳」とされていますが、これは現代日本のような満年齢ではなく、数え年での表記が一般的です。
数え年は生まれた瞬間を1歳とし、お正月を迎えるたびに歳をとる計算方法。なので、実年齢(満年齢)でいうと15歳〜16歳くらいになります。
高校1年生くらいの子が、ドロドロした後宮で毒見役をしていると思うと、その達観ぶりに改めて驚かされますね。そりゃあ高順も「ちゃん付け」で呼びたくもなります。
複雑すぎる両親、羅漢と鳳仙の事情
猫猫の出生は、物語の大きな鍵を握っています。
- 父親:羅漢(ラカン)
軍部の高官で、変人軍師。「片眼鏡の男」として猫猫からは毛嫌いされていますが、実は不器用すぎるほどの愛を娘に向けています。人の顔を認識できない障害を持っていますが、猫猫と母親だけは識別できるという切ない設定も。 - 母親:鳳仙(フォンシェン)
かつて緑青館でトップクラスの妓女だった女性。羅漢とのすれ違いや悲劇的な運命により、心を病んでしまいます。
「小猫」という可愛らしい響きの裏には、こうして両親と離れ、花街で養父(羅門)に育てられたというハードな生い立ちがあるのです。
左手の小指がない理由と物語の深み
少しショッキングな話になりますが、猫猫の左手の小指は、先が欠損しています(第一関節から先がない)。
これは事故ではなく、実母である鳳仙によるものです。
かつて鳳仙が羅漢への想いを伝える手段、あるいは狂気の中で行った「指切り(誓いの儀式)」の巻き添えになった…という背景が示唆されています。猫猫が包帯を巻いていたり、あまり自分の身体を見せたがらないのには、毒の実験痕だけでなく、こうした深い傷跡があるからなんですね。
そんな彼女だからこそ、高順たちが向ける「シャオマオ」という無償の親愛が、より一層温かく感じられるのかもしれません。
まとめ:シャオマオ呼びには大人たちの信頼と愛情が詰まっている
今回は『薬屋のひとりごと』で気になるキーワード「シャオマオ」について、意味や背景を深掘りしてみました。
今回の調査まとめ
- 「シャオマオ(小猫)」は「猫猫ちゃん」という意味の愛称
- 高順が「敬称はいらない」と言われた結果、親しみを込めて使い始めた
- アニメでは小西克幸さんの演技により「保護者感」が増している
- その呼び名の裏には、猫猫の過酷な生い立ちや年齢的な幼さも関係している
ただの名前呼びかと思いきや、そこには「大人が子供を守ろうとする視線」や「信頼関係」がしっかりと描かれていました。
これからアニメや漫画を見返すときは、ぜひ高順が「シャオマオ」と呼ぶシーンに注目してみてください。きっと、今まで以上にほっこりした気持ちになれるはずですよ。

