「え、結局いまの東宮って誰? 壬氏さまじゃないの?」
アニメや漫画を見ていて、ふとそんな疑問を持ったことはありませんか。私も最初はそうでした。『薬屋のひとりごと』って、人間関係がパズルのように入り組んでいるので、一度見逃すと「あれ?」ってなっちゃうんですよね。
特に「東宮(とうぐう)」という言葉。これ、物語の中で指している人物が変わったり、過去の事件が絡んでいたりと、実は一番ややこしいポイントなんです。
ネットの感想や考察を見ていると、私と同じように混乱している人がけっこう多いみたいです。「壬氏が東宮だと思ってた」「死んだのは誰の子?」なんて声もちらほら。
そこで今回は、手元の原作小説とアニメを全話見返して、複雑すぎる皇位継承の系譜を徹底的に整理してみました。「誰がどのポジションなのか」をスッキリさせつつ、最大の謎である壬氏の正体についても触れていきます。
※本記事には物語の核心に触れるネタバレや、作中の少しシビアな設定についての解説が含まれます。まだ知りたくない方はご注意くださいね。
この記事のポイント
- そもそも言葉の意味は「次期皇帝(皇太子)」のこと
- 作中には「亡くなった子」「新たに生まれた子」「幻の候補」の3人がいる
- 壬氏の正体は公的には「皇弟」だが、血筋には重大な秘密がある
- 入れ替わり事件の真相を知ると、すべての行動の意味が変わって見える
薬屋のひとりごとにおける「東宮」とはどういう意味?
まず最初に、言葉の定義をはっきりさせておきましょうか。ここがブレていると、あとの話が全部こんがらがっちゃいますからね。
一般的な定義と作中での役割
シンプルに言うと、「次の皇帝になることが決まっている皇子」のことです。日本でいう皇太子と同じですね。住んでいる宮殿が東側にあったことからこう呼ばれるようになったとか。
『薬屋のひとりごと』の世界である「茘(リー)」という国でも意味は同じ。皇帝の息子の中で、正式に跡継ぎとして指名された男の子がこう呼ばれます。つまり、「皇帝の息子=全員が東宮」ではないんです。ここ、結構重要です。
物語の中では、この座を巡って妃たちがバチバチに争ったり、逆に押し付け合ったりと、すべてのトラブルの中心地になっています。
なぜ「いない」と言われたり「いる」と言われたりするのか
物語の時系列によって状況がガラッと変わるのが、混乱の元凶なんですよね。
- 物語開始直後: 正式な跡継ぎは「不在」(候補だった子が亡くなったため)
- 物語中盤以降: 新たな男児が誕生して「在位」
私が原作を読み返して集計してみたところ、この称号に関わる重要人物は実は3人います。表にまとめてみるとこんな感じです。
| 人物 | 母親 | 状態 |
|---|---|---|
| ① 最初の候補 | 梨花妃 | 死亡(1巻/1話) |
| ② 現在の正統 | 玉葉妃 | 存命(物語途中で誕生) |
| ③ 幻の継承者 | 阿多妃 | 生存(正体は…) |
こうして見ると、「誰の話をしているのか」を文脈で判断しないといけないことが分かります。
薬屋のひとりごとで東宮が死亡した原因と入れ替わりの真相
物語の冒頭、猫猫(マオマオ)が後宮の闇に関わるきっかけになったのが、ある皇子の死でした。そして、それとは別に過去に起きた「もう一つの死」も物語の根幹に関わっています。
梨花妃の息子に起きた悲劇
アニメの第1話を見て衝撃を受けた人も多いはず。上級妃の梨花妃(リファひ)が産んだ男の子は、次期皇帝の最有力候補でしたが、原因不明の衰弱死を遂げてしまいます。
その原因は、当時流行していた「白粉(おしろい)」に含まれる毒(鉛)でした。母親や乳母が良かれと思って使っていた化粧品の毒が、肌の接触や母乳を通じて赤子に蓄積してしまったのです。
猫猫はこれに気づいて警告文を送ったものの、梨花妃側には届かず(あるいは無視され)、最悪の結果に…。この「無知ゆえの悲劇」が、猫猫を毒見役の道へと引きずり込むことになります。
阿多妃が関わった「赤子の取り違え」について
そして、もっと深い闇が過去の事件です。現皇帝の最初の妃である阿多妃(アードゥオひ)も、かつて男児を出産していました。
実はこの時、とんでもない「入れ替わり」が行われていたんです。
- 当時の皇太后(現皇帝の母)が産んだ子(本来の皇弟)
- 阿多妃が産んだ子(現皇帝の息子)
この二人がほぼ同時に生まれた際、阿多妃は自分の息子を守るために赤子をすり替えました。結果として、皇太后の子として育てられた阿多妃の実子は生き残り、逆に阿多妃の手元に残った「本来の皇弟」は、蜂蜜の毒に当てられて幼くして亡くなってしまいました。
つまり、「かつて亡くなった阿多妃の息子」とされているのは、血筋だけで言えば「今の皇帝の弟」だったわけです。ややこしいですが、これが解けると鳥肌が立ちますよ。
薬屋のひとりごとで玉葉妃が産んだ新たな東宮の存在
暗い話が続きましたが、希望の話もしましょう。物語が進むと、ついに待望の世継ぎが誕生します。
待望の男児誕生と母の覚悟
帝の寵愛を一身に受ける玉葉妃(ギョクヨウひ)。彼女が産んだ男の子が、現在の正式な跡継ぎです。
この出産により、玉葉妃はただの妃から、後宮の頂点である「皇后」へと昇格します。でも、それでハッピーエンドとはいかないのがこの作品のリアルなところ。一度この座に就いてしまえば、今度は息子を守るために、これまで以上に激しい女の戦いに身を投じなければなりません。
異国の血を引く容姿とその影響
玉葉妃は西方の血を引いているため、生まれた皇子も赤髪に碧眼という特徴を受け継いでいます。これがまた火種になるんですよね。
国内には「純粋な血統」にこだわる保守的な派閥もいて、異国の血が混じった皇帝を快く思わない連中もいます。生まれた瞬間から敵がいるなんて、皇族って本当に大変…。猫猫が関わりたくないと思うのも納得です。
薬屋のひとりごとの壬氏(じんし)は東宮なのか?血筋の秘密
さて、ここが一番気になっているところじゃないでしょうか。「壬氏さまって、本当はどういう立場なの?」という点です。
宦官、皇弟、そして真の血統
結論から言うと、壬氏の身分は3重構造になっています。
- 表向き: 後宮を管理する美しい宦官
- 公的な身分: 皇帝の弟である「皇弟・華瑞月(カズイゲツ)」
- 生物学的な真実: 皇帝と阿多妃の間に生まれた長男
先ほどの「入れ替わり」の話を思い出してください。阿多妃がすり替えて生き残った自分の息子、それこそが壬氏なんです。
つまり、血筋だけで言えば、彼こそが正真正銘、最初の「東宮」になるはずだった人物ということになります。
本人が皇位継承を拒む切実な理由
「じゃあ、なんで名乗り出ないの?」と思いますよね。でも彼は、頑なにその座を拒んでいます。
その最大の理由は、「猫猫への想い」と「自分の出自への誤解」でした。
かつては自分が不義の子(先代皇帝の子ではないか)と疑っていた時期もありましたし、何より皇帝になってしまえば、一介の薬師である猫猫と結ばれることは不可能になります。
「玉葉后の敵になりたくない」と言って、自らの体に焼き印を押してまで継承権を放棄しようとするシーンは、彼の執念と愛の深さを感じさせる名場面です。
「薬屋のひとりごと 東宮」で検索されるpixivなどの二次創作事情
ちょっと余談ですが、ネットで検索しているとpixivなどの創作サイトがよくヒットしますよね。これも調べてみました。
ファンが妄想する「もしもの世界線」
ファンの間では、「もし壬氏が正体を明かして即位していたら?」というIFストーリーが大人気みたいです。
「東宮妃になった猫猫」とか「帝として猫猫を囲う壬氏」といった設定の小説やイラストがたくさん投稿されています。原作がじれったいプラトニックな関係だからこそ、「いっそ権力を使って強引に…!」という妄想が捗るのかもしれませんね。
公式では見られない「強気な壬氏さま」が見られるのも、二次創作ならではの楽しみ方と言えそうです。
まとめ
『薬屋のひとりごと』における「東宮」の謎について整理してきましたが、いかがでしたか?
最後に改めて要点をまとめておきます。
- 言葉の意味: 次期皇帝となる皇子のこと。
- 亡くなった子: 梨花妃の息子(おしろい事件)と、入れ替わった本来の皇弟。
- 現在の東宮: 玉葉妃が産んだ赤髪の男児。
- 壬氏の正体: 公的には皇帝の弟だが、実は皇帝と阿多妃の息子(本来の継承者)。
こうして背景を知った上でアニメや小説を見返すと、「あの時の壬氏の表情はそういうことだったのか!」と新しい発見があるはずです。
特に壬氏が猫猫に向ける視線や、皇族としての義務に苦悩する姿は、彼の本当の血筋を知っていると涙なしには見られません。ぜひもう一度、物語の深層を味わってみてくださいね。

