アニメを見ていて、ふと画面の向こうの空気を吸ってみたくなることってありませんか?
『葬送のフリーレン』を見ていると、まさにそんな感覚に襲われます。どこか懐かしくて、でも少し寂しいような、美しい中世の街並み。ヒンメルたちが歩いたあの石畳や、フリーレンが見上げた空は、現実のどこかにあるんじゃないか──。
そんなふうに思って調べてみると、やっぱり「ここじゃないか?」と噂されている場所がいくつか見つかりました。公式に「ここです!」と宣言されているわけではないけれど、ファンの間では「ほぼ確定」と言われているドイツの街から、日本国内で世界観に浸れる意外なスポットまで。
今回は、私が夜な夜な地図アプリと睨めっこしながらまとめた、フリーレンたちの旅の足跡(モデル地)についての調査レポートをお届けします。
※本記事には作品のネタバレや、ファンによる考察・独自の分析が含まれます。また、現地の最新情報は変更される可能性があるため、訪問の際は公式サイト等をご確認ください。
この記事のポイント
- 主要キャラクターの名前はほぼすべて「ドイツ語」が由来
- 海外の有力候補地はドイツの「ネルトリンゲン」やフランスの「アルザス地方」
- 日本国内では「国営ひたち海浜公園」のネモフィラが蒼月草の再現に最適
- 2026年1月からは熊本県で大規模な公式コラボが開催予定
葬送のフリーレンのモデルになった国はどこですか?
まず結論から言うと、公式ガイドブックなどで「この国がモデルです」と明言されているわけではありません。でも、作品を深く愛するファンの間では、ほぼ間違いなく「ドイツ、およびその周辺の中世ヨーロッパ」がベースになっていると考えられています。
なぜそう言い切れるのか。理由はシンプルで、作品の中に散りばめられた「言葉」にヒントが隠されているからです。
キャラクター名に隠されたドイツ語の意味
これはもう、偶然の一致とは言えないレベルなんですよね。主要キャラクターの名前を辞書で引いてみると、そのままドイツ語の意味が出てきます。
| 名前 | ドイツ語 (綴り) | 意味 |
|---|---|---|
| フリーレン | Frieren | 凍る |
| フェルン | Fern | 遠い |
| シュタルク | Stark | 強い |
| ヒンメル | Himmel | 空・天国 |
| ハイター | Heiter | 朗らかな |
| アイゼン | Eisen | 鉄 |
他にも、「断頭台のアウラ」の「アウラ(Aura)」はオーラ、「腐敗の賢老クヴァール」の「クヴァール(Qual)」は苦痛といった具合に、魔族の名前も含めて徹底されています。
ここまで言葉がドイツ語で統一されているなら、舞台となる風景もドイツ周辺を参考にしていると考えるのが自然ですよね。
木組みの家と城塞都市の風景
作中でよく登場する、白い壁に木の梁(はり)が幾何学模様のように組まれた家。あれは「木組みの家(Fachwerkhaus)」と呼ばれる建築様式で、ドイツ中南部やフランスの一部でよく見られる伝統的な建物です。
アニメで見られる緻密な背景美術も、こうした実際のヨーロッパの街並みをかなり忠実にリスペクトしているように感じられます。ただのファンタジー背景ではなく、そこに「生活感」があるのは、現実の街をモデルにしているからこその説得力なのかもしれません。
葬送のフリーレンの聖地として噂されるドイツ・フランスの場所
では、具体的に「ここに行けばあの世界に入れる!」という場所はどこなのか。SNSでの目撃情報やファンの考察を元に、特に有力視されているスポットをピックアップしてみました。
円形の城壁に囲まれた街「ネルトリンゲン」
ドイツのバイエルン州にある「ネルトリンゲン」という街をご存知でしょうか。ここは隕石のクレーター跡に作られた街で、ぐるりと円形の城壁に囲まれています。
実はここ、『進撃の巨人』のモデルとしても有名なのですが、赤い屋根が密集する街並みや、城壁の上を歩ける構造は、フリーレンたちが立ち寄る城塞都市の雰囲気にそっくりなんです。特に、空から街を見下ろした時の「守られている感」は、まさに北側諸国の要塞都市そのもの。
アルザス地方のメルヘンな街並み
もう一つ、強く推したいのがフランス北東部の「アルザス地方」です。ドイツとの国境沿いにあるこの地域は、歴史的にもドイツ文化の影響を強く受けています。
特に「コルマール」や「ストラスブール」といった街は、絵本から飛び出してきたような木組みの家が川沿いに並んでいて、アニメの穏やかな日常パートで描かれる風景と重なります。クリスマスマーケットの時期に行けば、シュタルクとフェルンがデートしていそうな雰囲気を肌で感じられるはずです。
葬送のフリーレンの聖地は日本にもある?再現度が高いスポット
「さすがにドイツまでは行けない……」という方も多いですよね。私もそうです。でも諦めるのはまだ早い。日本国内にも、驚くほど作品の世界観に近い場所や、公式が力を入れているコラボスポットが存在します。
国営ひたち海浜公園のネモフィラと蒼月草
作中でも屈指の名シーンといえば、ヒンメルの故郷の花「蒼月草(そうげつそう)」を探すエピソード。あの一面に広がる青い花畑を再現できる場所として、ファンの間で聖地化しているのが茨城県の「国営ひたち海浜公園」です。
春(4月中旬〜5月上旬)に見頃を迎える「ネモフィラ」の丘は、空と海と花が溶け合うような青一色の世界。実際にここでフリーレンたちのコスプレをして撮影された写真がSNSで大きな話題になったこともありました。
「花畑を出す魔法」を使った後のような幻想的な景色の中に立つと、ヒンメルの銅像がどこかに立っているんじゃないかと錯覚してしまいそうです。
2026年から始まる熊本県での大型展開
そして、これから一番注目したいのが熊本県です。なんと2026年1月から、アニメ第2期に合わせて大規模なコラボレーションが始まります。
- 阿蘇くまもと空港: ラッピングバスの運行
- ポップアップショップ: 熊本モチーフの限定グッズ販売
- 阿蘇の自然: 雄大な山々は、北側諸国の荒涼としつつも美しい風景にぴったり
熊本といえば『ONE PIECE』や『夏目友人帳』の聖地としても有名ですが、ここにフリーレンたちが加わることになります。阿蘇のカルデラ地形や草原は、馬車で旅をする一行の背景にあっても違和感がありません。次の旅行先候補として、今からチェックしておいて損はないでしょう。
過去のラグナシアなどコラボ事例
愛知県のテーマパーク「ラグナシア」では、2023年から2024年にかけて「旅の途中、ラグーナにて」というイベントが開催されていました。ラグーナの街並み自体が海沿いの異国風で、作品との親和性が抜群でした。
こういった公式イベントは期間限定のものが多いですが、その場所自体が持っている雰囲気が作品に合っているからこそ選ばれているはず。イベントが終わった後でも、静かに「空気感」を楽しみに行くのも通な楽しみ方かもしれません。
葬送のフリーレンの地図と目的地の位置関係
聖地巡礼をする際、頭に入れておきたいのが作中の地理感覚です。彼らの旅は、かつての魔王城があった場所、大陸の最北端「エンデ」を目指しています。
オレオール(魂の眠る地)への道のり
フリーレンたちの目的地は、大陸北部のエンデにある「オレオール(魂の眠る地)」です。ここはかつて魔王城があった場所でもあります。
物語は南から北へと進んでいきます。最初は穏やかな中央諸国から始まり、徐々に寒く厳しい北側諸国へ。このグラデーションは、現実世界で言えばヨーロッパ中部から北欧へと抜けていく感覚に近いかもしれません。
ドイツがモデルだと仮定すると、南のバイエルン地方から北上して、バルト海沿岸やさらにその北の極寒の地へ向かうイメージでしょうか。
10年の旅路と距離感
勇者一行は10年かけて魔王を倒しに行きました。徒歩と馬車での移動ですから、途方もない距離です。
現実の旅行でも、例えばドイツ国内を周遊するだけで1週間あっても足りません。アニメの中で季節が移ろい、キャラクターの服装が変わっていくように、聖地巡礼をする際も「どの季節の、どのエリアの風景を見たいか」を絞ると、より解像度の高い体験ができると思います。
まとめ
『葬送のフリーレン』の聖地について調べてみると、特定の「ここ!」という場所ひとつだけでなく、ヨーロッパ各地の美しい風景や文化がモザイクのように組み合わさって、あの奥行きのある世界が作られていることがわかります。
ドイツの重厚な石造りの街、フランスの可愛らしい木組みの家、そして日本の絶景スポットで見られる青い花畑。
もちろん、実際に現地へ行くのはハードルが高いかもしれませんが、まずはGoogleマップのストリートビューで「ネルトリンゲン」や「コルマール」を検索して、散歩してみるだけでも結構楽しいものです。
もし次の長期休暇の予定が空いているなら、2026年の熊本コラボに合わせて旅の計画を立ててみるのもいいかもしれません。そこにはきっと、あなただけの「冒険の続き」が待っているはずですから。

