アニメ『薬屋のひとりごと』を見ていて、第24話のあのシーンで胸が締め付けられたのは私だけじゃないはずです。
変人軍師こと羅漢が、緑青館で身請け相手を選ぶ場面。そこで流した梅梅(メイメイ)の涙。
あれを見て「えっ、梅梅って実は羅漢のこと…?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな梅梅と羅漢の切ない関係性や、彼女がその後どうなったのかについて、原作小説や漫画版の情報も交えて深掘りしてみました。
物語の核心に触れる部分もあるので、まだ見ていない方はご注意くださいね。
※本記事にはネタバレや作品内の人間関係に関する詳細な解説が含まれます。
この記事のポイント
- 梅梅は羅漢に対して、単なる客以上の「淡い恋心」と「期待」を抱いていた
- 身請けシーンの涙は、失恋の痛みと鳳仙への祝福が混ざった複雑な感情
- その後、梅梅は「棋聖」という意外な人物に身請けされ、幸せな結末を迎える
- 猫猫は実父よりも「梅梅姐ちゃん」の幸せを願っていた
薬屋のひとりごとの梅梅は羅漢が好きだった?涙の理由を徹底考察
結論から言うと、私は「梅梅は羅漢のことが好きだった」と解釈しています。それも、昨日今日始まった気持ちではなく、もっと長く、静かに降り積もったような感情です。
アニメの描写だけでも十分に伝わってきますが、なぜそう言い切れるのか、あの涙のシーンを中心に紐解いていきましょう。
秘めた恋心と「期待する前に」という言葉の真意
羅漢が鳳仙(フォンシェン)の元へ駆け出した後、やり手婆の横で泣き崩れるシーンがありましたよね。
あそこで彼女が漏らしたセリフがすべてを物語っています。
「私が期待する前に終わっていればよかったのに」
この言葉、すごくリアルで切なくないですか?
「期待」という言葉を使うということは、心のどこかで「もしかしたら自分を選んでくれるかもしれない」と夢を見ていた証拠です。
でも同時に、彼女は羅漢が本当に愛しているのが誰なのかも一番よく知っていました。
だからこそ、彼が妥協で自分を選ぼうとした時、「選ぶならちゃんと選んでくださいね」と自ら窓を開けて、鳳仙の歌声を届けたんです。
自分の恋を自分で終わらせる潔さと、それでも溢れてしまう涙。あのシーンは「失恋」と「愛する二人の再会への安堵」が入り混じった、名場面中の名場面だと思います。
禿(かむろ)時代から続いていた長い関係性
実はこの二人、付き合いがかなり長いです。
梅梅がまだ「禿(妓女の見習い)」だった子供の頃から、羅漢は鳳仙の元に通っていました。
その際、待ち時間などに囲碁や将棋の相手をしていたのが彼女です。
羅漢は「人の顔が識別できない(相貌失認の傾向がある)」という設定ですが、幼い頃から将棋などを通じて交流があった彼女のことは、ある程度認識できていたようです。
彼女にとって羅漢は、単なる「姉弟子の客」を超えて、自分の知性(碁や将棋)を認めてくれる数少ない男性だったのかもしれません。
そう考えると、長年の片思いが実らなかった結末には、より一層の深みを感じますね。
羅漢が身請けの際に梅梅を選ぼうとした背景と猫猫の反応
そもそも、なぜ羅漢は最初に彼女を選ぼうとしたのでしょうか?
「鳳仙がいないなら誰でもよかった」という投げやりな理由だけではない、彼なりの誠意も見え隠れします。
「おじさん」でも顔が識別できていた理由
羅漢にとって、人間は基本的に「碁石」や「石ころ」のように見えています。
しかし、特定の感情や関係性がある相手だけは、ちゃんと将棋の駒や人間の顔として認識できるんです。
彼が身請け相手を選ぶ際、ずらりと並んだ美女たちの中で、唯一「顔が見えていた(あるいは個として認識できた)」のが彼女でした。
これは、かつて囲碁を教えた思い出や、彼女が自分に対して悪意を持たず接してくれたことへの信頼があったからでしょう。
「鳳仙はもう死んでしまった」と思い込んでいた彼にとって、唯一の理解者であり、情愛を注げる可能性があった相手が彼女だったのです。
実の娘は「姐ちゃん」を送りたかった?
面白いのが、この一連の流れに対する主人公・猫猫(マオマオ)の反応です。
彼女は羅漢のことが大嫌いですが、身請けの結果を知った時、心の中でこう呟いています。
「本当は梅梅姐ちゃんを送りたかったな」
猫猫にとって、実の母親である鳳仙は「自分を産んで指を切り落とした狂気の女」という認識が強く、母親らしい愛情を受けた記憶はありません。
一方で、育ての親である三姫(特に長女格の梅梅)には強い愛着を持っています。
「父親としては最低だけど、金払いは良くて身請け後も自由がききそうなパトロン」としての羅漢は、大好きな姉ちゃんの引退後の相手としては「優良物件」だと判断していたんですね。
猫猫らしい、ドライだけど愛情深い一面が見えるエピソードです。
薬屋のひとりごとで梅梅はその後誰に身請けされた?引退の結末
羅漢との恋は叶いませんでしたが、安心してください。
物語には続きがあり、彼女にはちゃんと幸せな結末が用意されています。
「じゃあ結局、誰と一緒になったの?」という疑問にお答えします。
まさかの超大物「棋聖」との縁談
なんと彼女の身請け相手となったのは、「棋聖(きせい)」と呼ばれるおじいさんです。
この棋聖、ただのおじいさんではありません。
- 帝(皇帝)の囲碁の師匠を務めるほどの超実力者
- 羅漢が「自分より強い」と認める数少ない人物
- お金持ちで、妻はおらず独り身
実は、西への遠征に行く前の羅漢が、緑青館に立ち寄って棋聖を紹介したのがきっかけでした。
羅漢に鍛えられた彼女の碁の腕前を見込んで、棋聖が大変気に入ったのです。
やり手婆たちからも「これ以上の優良物件はない!」と太鼓判を押され、彼女は身請けを受け入れます。
現在は「棋聖の弟子」兼「妻(のようなパートナー)」として、得意の知性を活かしながら穏やかに暮らしているようです。
羅漢への想いは叶いませんでしたが、彼がきっかけで、自分の才能を愛してくれる人と巡り会えた。ある意味、一番幸せな形に収まったのではないでしょうか。
アニメや漫画・小説の何巻で描かれているか
このあたりのエピソードがどこで読めるのか、媒体ごとに整理してみました。
| 媒体 | 該当箇所 |
|---|---|
| アニメ | 第24話「壬氏と猫猫」(身請けシーンまで) |
| 漫画(スクエニ版) | 8巻 第40話前後 |
| 漫画(サンデーGX版) | 7巻 第28話前後 |
| 原作小説 | 2巻(身請け)〜 その後の巻で棋聖との話が登場 |
アニメでは涙のシーンまでが描かれましたが、その後の棋聖とのエピソードを知りたい方は、原作小説を読み進めるのがおすすめです。
梅梅の年齢や声優、正体などのプロフィールまとめ
最後に、彼女のキャラクターとしての魅力を基本的なプロフィールから振り返ってみましょう。
「三姫」の中でも、彼女は特にバランスの取れた大人の女性として描かれています。
三姫としての魅力と姉・母としての役割
緑青館のトップ3である「三姫」は、それぞれ異なる魅力を持っています。
- 白鈴(パイリン): 肉体派でちょっとおバカキャラ(でも人気No.1)
- 女華(ジョカ): クールで知的、男嫌い
- 梅梅(メイメイ): 芸事だけでなく囲碁・将棋などの教養があり、面倒見が良い
猫猫にとっては、実質的な母親代わりでもありました。
年齢は作中で明言されていませんが、20代後半から30代前半と推測されます。「妓女としては引退を考える時期」という描写があるため、そのあたりが妥当なラインでしょう。
派手さでは白鈴に負けるかもしれませんが、客の話を聞き、知的な遊びで相手を楽しませる「癒やし」のスキルは彼女が一番だったはずです。
アニメ版キャストと演技の評判
アニメで声を担当したのは、潘めぐみ(はん めぐみ)さんです。
『HUNTER×HUNTER』のゴン役など少年ボイスのイメージも強いですが、今回はしっとりとした大人の女性を見事に演じられていました。
特に24話の、あの声を震わせながらの涙の演技。
SNSでも「潘めぐみさんの演技でもらい泣きした」「切なさが倍増した」と絶賛の声が多く上がっていました。
私もあの一言の重みには、声優さんの凄みを感じました。
まとめ
今回は『薬屋のひとりごと』の梅梅と羅漢の関係について、少しマニアックな視点も交えて解説しました。
改めて振り返ると、彼女の魅力はその「深さ」にあります。
- 羅漢への秘めた恋心を持ち続けていた一途さ
- 好きな人の本当の幸せのために身を引く強さ
- 猫猫を娘のように思う母性
羅漢と結ばれることはありませんでしたが、その優しさと知性が認められ、「棋聖」という良きパートナーと巡り会えたのは本当に救いのある結末でした。
もしアニメを見返したり、漫画を読み直したりする時は、ぜひ彼女の視点に立って物語を追ってみてください。
きっと、最初とは違った感動が味わえるはずですよ。

