※本記事には、物語の核心に触れるネタバレや、一部作品の展開に関する解説が含まれます。ご注意ください。
「薬屋のひとりごと」面白いですよね。私もアニメから入って、気づけば漫画を全巻揃え、なろう小説まで読み漁るほどのめり込んでしまいました。
でも、これだけ人気が出るとどうしても耳に入ってくるのが「パクリ疑惑」という不穏なワード。検索窓に「薬屋のひとりごと パクリ」なんて出てくると、ファンとしては少しドキッとしてしまいます。
「もしかして元ネタがあるの?」
「逆に、最近のあの作品は薬屋の真似?」
そんなモヤモヤを抱えている方も多いはず。そこで今回、ネット上の口コミや類似作品、さらには歴史的な背景まで徹底的にリサーチしてみました。すると、「パクリ」という言葉の裏にある、意外な事実やジャンルの面白い関係性が見えてきたんです。
この記事の調査レポート・ポイント
- パクリ疑惑の真相:「チャングムの誓い」など類似作品はあるが、盗作ではなく「後宮ジャンル」の共通項が多いだけ。
- 逆パクリ疑惑:「後宮茶妃伝」や「後宮の検屍女官」などが似ていると言われるが、それぞれ独自のテーマや歴史背景に基づいている。
- 歴史的事実:「白粉の毒」などのトリックは、実際にあった歴史や文献がベース。
- 作品の楽しみ方:「似ている」とされる作品は、むしろ薬屋ファンにおすすめの良作ばかり。
薬屋のひとりごとはパクリなのか?元ネタや似てる作品を検証
まず結論から言うと、私が調べた限り「薬屋のひとりごと」が特定の作品をパクったという決定的な証拠はありません。
でも、なぜここまで「パクリ」と言われてしまうのか。その理由を深掘りしていくと、どうやら「設定の既視感」と「歴史ミステリーあるある」が原因のようです。
韓国ドラマ「チャングムの誓い」との共通点
一番よく言われるのが、韓国の大ヒットドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」との類似性です。ネットの掲示板やレビューを見ても、「設定がそっくり」「雰囲気が似てる」という声がちらほら見受けられます。
確かに、調べてみると以下の点は共通しています。
- 舞台:宮廷(後宮)という閉鎖的な社会
- 主人公:身分の低い女性が、特別な知識(医術や料理)で成り上がる
- 展開:権力争いや陰謀に巻き込まれながら問題を解決する
ただ、これは「パクリ」というよりは「王道パターンの類似」と言ったほうが正確でしょう。「チャングム」は実在の人物をモデルにした大河ドラマ的な側面が強いですが、こちらは架空の国を舞台にしたミステリー要素が強い作品です。共通する「医食同源」のテーマも、東洋医学を扱う以上は避けて通れない道ですからね。
白粉(おしろい)事件と歴史的事実
もう一つ、よく話題に上がるのが「毒入りの白粉(おしろい)」のエピソードです。「これ、他の時代劇でも見たことあるぞ?」と思った方もいるかもしれません。
実際、知恵袋などでも「白粉のネタはパクリでは?」という質問がありましたが、これに対する回答は非常に冷静でした。というのも、鉛や水銀を含んだ白粉による中毒は、日本でも中国でもヨーロッパでも実際に起きていた歴史的事実だからです。
昭和初期まで白粉トラブルがあったという話もありますし、歴史的事実をトリックとして取り入れることはミステリーの定石。これを「パクリ」と呼ぶのは、さすがに無理があると言えそうです。
「薬屋のひとりごとのパクリでは?」と噂される後発作品たち
さて、ここからは逆の視点です。「薬屋のひとりごと」があまりにヒットしたせいで、その後に世に出た中華風後宮作品が片っ端から「薬屋のパクリじゃない?」と疑われる現象が起きています。
私がリサーチした中で、特に比較されていた作品をチェックしてみました。
「後宮茶妃伝」の設定に対する読者の声
「後宮茶妃伝」は、薬や毒の代わりにお茶(茶道)をテーマにした作品です。
レビューサイトを見てみると、面白い傾向がありました。「主人公が特定の知識(お茶)に長けている」「後宮の事件を解決する」というプロットが似ているため、「薬屋のひとりごとに似すぎている」という感想と、「お茶という切り口が新鮮で面白い」という感想に二分されているんです。
「主人公がオタク気質で、恋愛よりも趣味(お茶)に没頭する」というキャラ造形も、猫猫を彷彿とさせるのかもしれません。ただ、これは「専門知識チート系」という一つのジャンルとして楽しむのが良さそうです。
「百花宮のお掃除係」に見るジャンルの定型
こちらも「パクリ?」と検索されることが多い作品ですが、検証記事を読んでみると、実際にはかなり毛色が違うことがわかります。
最大の違いは「転生もの」であること。主人公は現代日本の看護師から転生しており、「後宮ウォッチング」を楽しむようなコミカルで明るいノリが特徴です。
- 薬屋:ミステリー、少しシリアス、主人公は現地人
- お掃除係:転生、コメディ、主人公は現代知識持ち
こうして並べてみると、舞台設定以外は別物ですよね。「後宮で地味な仕事(掃除)をしている主人公が実は有能」という設定は、もはや「なろう系」やラノベの定番フォーマットと言えるでしょう。
「後宮の検屍女官」への言いがかりと作者の反論
少し深刻なケースも見つけました。「後宮の検屍女官」という作品では、作者の方がSNS上で「トリックがパクリだ」という誹謗中傷を受け、きっぱりと反論した事例があります。
指摘されたのは「頭に釘を刺して殺害し、髪で隠す」というトリックだったようですが、作者の方は「それは宋時代の法医学書『洗冤集録』に載っている記述に基づいている」と説明されていました。
これも先ほどの白粉と同じで、歴史的な文献や事実を元にした描写を「パクリ」と勘違いしてしまったケースですね。知識がないと「似ている=パクリ」と短絡的に考えてしまいがちですが、作者さんのリサーチ力に敬意を払うべき場面だと感じました。
薬屋のひとりごとと似てるけど違う!比較される人気作品の違い
「似ている」と言われる作品の中には、むしろ「薬屋」が好きなら絶対にハマるであろう名作がたくさんあります。「どっちが先か」なんて野暮なことは言わずに、それぞれの違いを楽しんでみるのはどうでしょうか。
ファンタジー要素が際立つ「後宮の烏」
アニメ化もされた「後宮の烏」は、よく比較対象に上がります。
実際に両方見た人の感想を拾ってみると、「薬屋は理系(薬学・推理)、後宮の烏は文系(呪術・幽霊)」という表現がしっくりきます。「後宮の烏」は幽鬼や術が登場するファンタジー色が強く、全体的に少しダークで切ない雰囲気が漂います。
「解決する」という構造は似ていますが、読後感は全く違うので、両方楽しんでいるファンも多いですよ。
「彩雲国物語」や「十二国記」といった往年の名作
「薬屋のひとりごと」以前から、中華風ファンタジーの金字塔として君臨しているのがこれらの作品です。
特に「彩雲国物語」は、女性が官吏(役人)として国を動かしていく物語で、恋愛要素や政治的な駆け引きもしっかり描かれています。「薬屋」の猫猫もとんでもない知識を持っていますが、国を動かすというよりは「身近な謎解き」がメイン。
スケールの大きな国盗り物語や政治劇が読みたいなら、これらの名作に手を伸ばしてみるのがおすすめです。
その他の関連作品との比較
他にも、「逃げ上手の若君」や「烏は主を選ばない」といった作品と一緒に語られることもあります。
これらは時代設定や舞台こそ違いますが、「歴史的な背景をもとにしたエンタメ」「一癖ある主人公」という点で共通するファン層が多いようです。特に「烏は主を選ばない(八咫烏シリーズ)」は、和風ファンタジーでありながら、朝廷内の権力争いや謎解き要素が非常に濃密で、ミステリー好きにはたまらない作品です。
漫画が2種類ある理由や作者への批判など気になる疑問
最後に、検索していて気になった「作品周りの疑問」についても整理しておきます。
ビッグガンガン版とサンデーGX版の違い
「漫画を買おうとしたら2種類あってどっちを買うべきか迷った」という経験はありませんか?
実はこれ、同じ原作小説を元に、別々の出版社がコミカライズしているという珍しいパターンなんです。
| 版 | 特徴 |
|---|---|
| ビッグガンガン版(ねこクラゲ) | キャラが可愛らしく、構成がドラマチック。アニメの絵柄に近い。 |
| サンデーGX版(倉田三ノ路) | 原作に忠実で、ミステリー要素や硬派な描写が強め。 |
どちらも素晴らしい出来なので、絵の好みで選んでも良いですし、余裕があれば両方読み比べるのも一興です。
原作者や作品への「やらかし」疑惑の正体
検索キーワードに「作者は何をやらかしましたか?」という不穏なものがありましたが、調査した限り、原作者の日向夏氏が作品の内容に関して何か問題を起こしたという事実はありません。
おそらくこれは、先ほど紹介した「後宮の検屍女官」の作者がパクリ疑惑をかけられてトラブルになった件や、あるいは作画担当の方の個人的な報道(脱税の件など)と記憶が混ざって検索されている可能性があります。
作品そのものの評価とは切り離して考えるのが良さそうです。
マオマオの両親や物語の背景モデル
猫猫の両親についての秘密も、物語の大きな核ですよね。これについてはネタバレになるので詳しくは書きませんが、彼女の出生の秘密が「後宮」という場所を選んだ理由にも繋がっていきます。
また、モデルとなった国については、唐代の中国をベースにしつつ、架空の要素を織り交ぜていると言われています。特定の時代をそのまま写しているわけではないからこそ、自由なミステリーが描けるのかもしれません。
まとめ:パクリ疑惑が出るのは人気作の宿命
今回、色々な角度から「薬屋のひとりごと」のパクリ疑惑について調べてみましたが、結論としては「パクリではなく、歴史的事実や王道ジャンルを踏襲したオリジナル作品」であるとはっきり言えそうです。
むしろ、「似ている」と言われる作品がこれだけ出てくるのは、それだけ「中華風後宮ミステリー」というジャンルが熱く、多くの読者を惹きつけている証拠ではないでしょうか。
もし「パクリかな?」と疑って食わず嫌いをしているなら、それはもったいない! アニメも漫画も小説も、それぞれ違った面白さがあるので、ぜひご自分の目で確かめてみてください。きっと、猫猫のドライな魅力にハマってしまうはずですよ。

